ER(エストロゲン受容体, estrogen receptor)
東北大学病理部 森谷 卓也

 
* 乳癌に対する体外診断医薬品として市販されている抗血清は以下の3種である。それぞれ推奨されている染色方法がある。ER(またPR)陽性であれば術後内分泌療法の適応ありと判断される。
 clone 1D5 (DakoCytomation)
 clone 6F11 (Ventana Japan)
 clone ER88 (協和メディックス)


推奨陽性コントロール:乳管上皮(但し正常乳管上皮では陽性細胞と陰性細胞が混在して認められる)
染色パターン:核

乳癌症例における判定法
1. 癌細胞の10%以上に核陽性所見が得られれば、陽性判定とする。
2. 陽性判定の基準を5%あるいは1%としている施設もある。
3. 進行・再発乳癌では<10%でも陽性細胞があればホルモン療法を選択したい場合があるので、判定の際配慮(境界域とするなど)が必要である。
4. 非浸潤癌症例における実施の有用性、浸潤性乳癌において非浸潤癌成分の染色性を判定に含めるべきか、については今後の検討を要する。
5. 陽性細胞占有率と染色強度を組み合わせたAllred法も用いられている。
6. HE染色標本と対比し、取り込まれた正常乳腺組織などを感情判定しないように注意する

日本乳癌学会研究班(梅村班)による推奨

1.判定スコア
陽性細胞数
 Score 0
 Score 1
 Score 2
 Score 3

陰性
陽性細胞占有率1/100未満
陽性細胞占有率 1/100以上 1/10 未満
陽性細胞占有率 1/10以上
2.判定区分
 陰性
 境界域
 陽性
score 0
score 1, 2
score 3


Allred scoreの概要
Total score (TS) = Proportion score (PS)+ Intensity score(IS)
PSは0-5点、ISは0-8点、TSは0,2-8点となる
 オリジナルの論文ではTS3以上を陽性としている
 最初にPSを判定し、その後優勢となるIS(または平均)を採用

PS IS
0:染色性なし
1:1%未満
2:1%-10%未満
3:10%-1/3未満
4:1/3-2/3未満
5:2/3以上
0: 陰性
1: 弱染色性
2: 中間染色性
3: 強染色性


(オリジナルの論文はAllred DC et al. Mod Pathol 11: 155-168, 1998)

原発性乳癌以外における使用法の例
1. 転移・再発乳癌におけるホルモン治療施行の適応判定
2. 原発不明癌における原発巣の推定(陽性は乳癌の絶対的証拠にはならないが比較的特異性は高い)。皮膚汗腺由来の癌でも陽性となるので注意。
3. 子宮内膜型腺癌(ER陽性)と内頸部型腺癌(ER陰性)の鑑別

↓浸潤性乳管癌における染色例。びまん性に強染性が得られておりAllred scoreではPS5+IS3=TS8。

執筆日:2006/2/27
執筆者:東北大学病院病理部 森谷卓也

 


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